東京税経新人会では、「申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関する意見書」を作成し、2023年8月15 日に鈴木俊一・財務大臣、住澤 整・国税庁長官、足達信一・東京税理士会会長、太田直樹・日本税理士会連合会会長あてに郵送いたしました。

 申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関する意見書

                                  東京税経新人会 会長 大矢 良典

 令和5年4月25日付(管税1-34)にて国税庁総務課長杉山真氏より日本税理士会連合会神津信一会長宛に送達された「申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しについて(依頼)」において、令和6年4月以降に申告書等控えへの収受日付の押なつを取りやめることを検討している旨が記載され、その旨周知するよう日本税理士会連合会へ依頼されていた。
 当会は、以下の理由により収受日付印の押なつを取りやめることについて断固反対する。

(理由)
1. 申告納税制度の下では、納税者(国民)が自らの課税標準及び税額を決定し、その申告方法について現状では紙による提出を原則としつつも電子申告による提出も認められている。また各種申請・届出の提出についても同様であり、こうした提出方法に対する納税者(国民)の選択は、憲法第13条における基本的人権の尊重(自己決定権)により担保されている。このことは税務行政のデジタル化(DXDX)がすすめられている状況下においても何ら変わらない。

2. 収受日付印の押なつが「行政サービスの一つ」として税務官公署職員によるサービスであって義務ではないという考えがあるとすれば、そのサービスはそもそも納税者(国民)全体へのサービスとして当然に提供されるべきものである。これは憲法第15条第2項における「すべての公務員は、全体の奉仕者」であることにも合致する。
税務行政のデジタル化(DXDX)に固執することで、納税者(国民)へのサービスが低下することは望ましくない。納税者(国民)の自主申告等を促すうえでも納税者(国民)にとって申告方法等の選択肢が多いこと及び
それに対する行政サービスが手厚いことは、適正な納税実施の確保へとつながるものと考える。

  1.  収受日付印が押なつされた申告書等の控えは、その提出を証明するものとして広く一般的に認識されており、金融機関との取引や各種補助金・助成金の申請等においても、収受日付印が押なつされた書面の提示提出が求められる。e–TaxTaxによる書面提出申告書等控えの証明書取得サービスによる入手方法があるとしても、そのサービスを利用できるのであればそもそも電子申告を実施しているはずであり、そうした電子手続やデジタル機器に不慣れな納税者(国民)を排除、もしくはデジタル化(ee–TaxTaxへの移行)へ強要するような処置は講ずるべきではない。

 4. 収受日付印の押なつ実施は納税者(国民)並びに税務官公署の双方にとって提出確認の際の証明ともなるうえ、双方にとっての無用な争いを生じさせないという点でも有意義な行政サービスであると考える。
また収受日付印の押なつを取りやめることで、今後提出の事実確認を納税者が行う際に多大な労力を強いることとなりかねない。
 以上、「申告書等の控えへの収受日付印の押なつを取りやめること」について、「納税者の利便性の向上」に逆行するものと考え断固反対する。
                                              以上