自由民主党の派閥が、政治資金パーティーの収入の一部を収支報告書に記載していなかった問題について、政治資金規正法違反の疑いが強く指摘されている。2月に自由民主党が行ったアンケート結果では、現役の国会議員など85名に不記載があったと判明した。

 政治資金規正法第1条は「この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。」としている。
 今般の件は、同法に抵触するものであり、政治への国民の信頼を著しく損ねる行為である。
 また、国税庁は議員に向けて「政治資金に係る『雑所得』の計算等の概要」と題する文書を作成し、衆参両院に配布している。文書には、「政党から受けた政治活動費や、個人、後援団体などの政治団体から受けた政治活動のための物品等による寄付などは『雑所得』の収入金額になりますので、所得金額の計算をする必要があります」とあり、裏金、キックバックは雑所得となり、今般の件は脱税に当たる可能性がある。
 国民はインボイス制度導入をはじめ、納税や事務負担の増加を強いられている。また、税務調査の現場では、銀行口座や取引相手の調査などが行われ、不正な収入や支出がないか厳重にチェックされる。政治家であることを理由に適切に納税されないことや、税務当局が税務調査をしないことは許されない。

 明日2月16日より確定申告の受付が開始される。政府がこのような疑惑を抱えて国民に適正な申告・納税を唱えても納税意識は著しく失われたままである。高まる国民の政治不信を払拭するため、国会の場において疑惑の全容が徹底解明されるよう政府は全面協力し、検察・国税庁に対しては必要な調査を指示し、国民への説明責任を果たすことを強く求める。


2024年2月15日
東京税経新人会 幹事会一同